経緯:以前より嗄声あり、検診にてサコマノD判定で当院受診。精査により胸部CTにて小粒状影あり、Tbが疑われた。 気管支鏡では所見なし。(細胞診Class II) 抗酸菌検査陽性のためTbの治療中、喉頭に whitish lesion 出現。 Biopsy 施行。
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表層の異型扁平上皮細胞が主体。細胞質厚く、一部光輝性あり。 核腫大や核型不整がみられ、クロマチン増量しており、クロマチンパターンは濃縮・融解状など多彩である。キャニバリズムも認められ、構築の乱れが伺われる。
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細胞は主にOG好染の小型細胞で孤立や集塊で出現していました。いずれも細胞質の厚みや核異型は若干みられますが、輝度はなく、核は薄くクロマチンの増量もありませんでした。そのため、当施設ではB判定を考えました。 しかし、WHO分類によりますと『上皮内の異型変化として上気道と子宮頸部は似ている。』とありました。講師が指摘するような細胞が子宮頸部のスメアに出現したら、軽度異形成と判定すると思います。すると喀痰に出現したこのような細胞は上気道の軽度異形成を最も考えなければならない細胞ではないかと検討し直しました。上気道の軽度異形成をB判定と判定していいものなのかどうか、再検が必要なのかどうかも分かりませんでしたが、当施設としてはB判定 軽度異形成(上気道?)を考えました。
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提供施設が提示した細胞の全てが説明の通りの形態であるとは思えず多彩な細胞が出現しています。それぞれの細胞が由来したであろう病変を推定してゆく必要があります。
講師の経験では異形成は癌に隣接して存在する症例が多く、子宮頸部と同様に前癌病変の可能性が大きいと考えます。その点で異形成を有する人は扁平上皮癌発症の高危険群とも考えられます。以上から軽度〜中等度異形成由来の細胞はC判定が望ましいと考えています。
(画像は拡大しません)
喉頭部生検。軽度異形成
軽度異形成。表層細胞は大きく、薄い。
細胞診標本中の表層型異型細胞
喀痰細胞診標本中の表層型異型細胞
喀痰細胞診標本中のやや小型な異型細胞。