検体処理法
提供施設: 針洗浄法(ショ糖加保存液)
事前鏡検施設:直接吹き付け法、針洗浄法(サイトライト液)
線維線種
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提供症例細胞像と判定所見:多数の小型裸核状細胞と共に大きなシート状の単層性細胞集団が認められる。集団辺縁は比較的クリアで筋上皮細胞も認められる。核配列の乱れや核の大小不同性も認めない。一部分枝状の索状配列を呈した細胞集団も認められ、管内性の線維腺腫特有の迂曲、延長が推測される。
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事前鏡検施設症例細胞像と比較判定所見:ショ糖加保存液標本は、細胞集塊の結合性が強調されている。吹き出し標本では、大型細胞集塊の細胞相互の所見が分かるが、核・細胞質・細胞境界等は不明瞭である。サイトライト液洗浄標本では、細胞結合が緩やかになる所見がみられる。
乳頭腺管癌
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提供症例細胞像と判定所見:細胞密度の高度な大小の細胞集団を認め、細胞集塊は不規則な配列を示し、核の突出や大小不同性、一部に腺管状の細胞集団も認める。個々の細胞ではN/C大、核クロマチン増量、核形不整が見られ、核内細胞質封入体も認める。
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事前鏡検施設症例細胞像と比較判定所見:提供症例は乳頭腺管癌を推計するには充分の所見であった。吹き出し標本では上皮性結合を示す大型細胞集塊と散在性の腫瘍細胞、および壊死性物質が多量にみられる。サイトライト液洗浄標本では細胞集塊は小さくなり散在性の腫瘍細胞が主体を占めるようになる。個々の細胞所見は、洗浄標本の方がわかりやすい。
硬 癌
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提供症例細胞像と判定所見:比較的小型の細胞が単離性に散在性に出現している中に細胞構成の少ない細胞集団も散見される。細胞集団は腺管状・ イ ン テ ゙ ィ ア ン フ ァ イ ル状の集団形成が多く、細胞質封入対(ICL)も認める。細胞はN/C比が高く、核クロマチン増量、核小体も明瞭に観察される。
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事前鏡検施設症例細胞像と比較判定所見:上皮性細胞集塊を多く認め、腺腔様構造を示す所見が認められることから乳頭腺管癌を強く疑われるが、ICLを多く認めることから硬癌(広義)をも推計できる。吹き出し標本では広義の硬癌と乳頭腺管癌は同様の所見が見られ、狭義の硬癌では細胞量はごく少量で核が縦に並ぶ特徴的な線状配列の所見がよく観察される。サイトライト液洗浄標本では、吹き出し標本と同様の所見であるが線状の核配列に変化がみられる。
まとめ:集細胞検体では、それぞれの症例同様の細胞所見を見る事が出来た(細胞個々の所見が見やすい)。吹き出し検体では、細胞が吹き出しおよびに圧坐よる乾燥・膨化などの所見が加わり個々の所見が見にくくなる事が多かった。また、細胞集塊の結合性の状態は、吹き出し検体の方が良く分かるように思われた。硬癌では細胞量の多さで広義・狭義の推定は、可能と思われる。また、特徴的な細胞が見られない場合は、良性・悪性を含めて判定が難しいと思われる。