症例 7

症例の経緯
68歳女性 左C領域に10mmの結節あり受診、穿刺細胞診施行

標本作製法:生理食塩水5mlで穿刺針洗浄、オートスメア1500rpm5分遠沈塗抹後95%エタノール15分固定


細胞像
0001 0002 0003 0004 0005
0006 0007 0008 0009 0010
0011 0012 0013 0014 0015
0016 0017 0018 0019 0020
判定
提供施設:
背景にはリンパ球が散在し、双極裸核細胞も散在している部分がみられます。異型を示す乳管上皮細胞が管状、シート状及び乳頭状で認められます。各集塊共に細胞密度は高〜低までみられ、核サイズも大小不同から比較的均一まであり、クロマチンは微細顆粒状〜細顆粒状に増量し充満しています。集塊上に点在する小型濃染核は核内構造が不明瞭なため、良性の指標としての筋上皮細胞とはしませんでした。
細胞異型が強く変性した筋上皮細胞の付着からDCISも疑いましたが、核に緊満感が無く平坦。また背景の双極裸核と筋上皮細胞との二相性を保持するシート状集塊、乳頭状集塊。及びクサビ型の集塊から乳管過形成、硬化性腺症等を考えclassVと判定し、念のため生検も依頼しました。

事前鏡検施設:検体適正 悪性の疑い 全体像として、比較的小型で裸核状の細胞が多数散在するほかに乳頭状や管腔状、シ−ト状などの細胞集塊が見られ、辺縁には細胞のほつれなどが見られる。N/Cは大で細胞質は不明瞭、核の大小不同を認め、核クロマチンはやや粗大顆粒状に増量している。一見、裸核状の小型細胞が筋上皮細胞様に見えるが、双極裸核は見られず二相性は消失していると思われる。また核の相互圧排、濃染核の混在や索状配列を示す部分も見られ、明瞭ではないがICL様の空胞もみられる。平面的な配列で、比較的正常に近い部分も見られる為、悪性の疑いとした。
推定病変は乳頭腺管癌からスキルスへ進展した可能性があると考える。


組織像

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10

最終組織診断:Papillotubular carcinoma(周囲へのdirect invesive)