症 例 1

検   体:ドック受診者の蓄痰
年   齢:63 歳  男
検体処理:1、2 YM式3日間蓄痰法 擦り合わせ塗抹
臨床経過:ドック検診にて喀痰細胞診D判定。
精査のため胸部単純CT:異常なし、喀痰細胞診の再検にてクラスIV(扁平上皮内癌疑い)。経過観察後、耳鼻科に紹介され、組織生検(1回目)が施行され、高度異形成の疑いと診断された。同日に行われた胸部・頸部単純CT:下咽頭腫瘍を指摘された。その後、頸部造影CTが施行され、下咽頭腫瘍(梨状窩)10×19mmとリンパ節腫大が指摘された。組織生検(2回目)が施行後他院へ照会転院した。

提供施設画像

1回目

001 002 003 004 005
006 007 008 009  

2回目

0011 0012 0013 0014 0015 0016
0017 0018 0019 0020 0021 0022
0023 0024 0025 0026 0027 0028
0029 0030 0031 0032 0033  

提供施設判定:1、肺内成分がみられる標本で、背景には炎症性変化や壊死様物質などはみられないが、散在性でオレンジGに好染する扁平上皮系の異型細胞と散在性から一部に重積している集塊としてライトグリーンに好染する扁平上皮系の異型細胞が出現していた。これら扁平上皮系の異型細胞は胞体の重厚感は増しているが奇妙な細胞形態は示しておらず、N/C比の増大と伴に顆粒状のクロマチンが密に増量して、核縁は比較的なめらかであるが立体的な核型不整が認められた。
上記の細胞所見より、高度異型扁平上皮細胞から早期の扁平上皮癌が疑われ、D判定とた。
2、肺内成分がみられる標本で、背景には壊死性物質などはみられないが、好中球を主体とする炎症性細胞がみられた。そして、オレンジGやライトグリーンに好染して一部には多核傾向を示す扁平上皮系の異型細胞が散在性から重積性を示す集塊として出現していた。これら扁平上皮系の異型細胞は、対細胞があって胞体の重厚感が増し、奇妙な細胞形態を示している異型細胞もあり、N/C比の増大と伴に顆粒状のクロマチンが密に増量して、核縁はなめらかだが立体的な核型不整が認められた。
上記の細胞所見より、扁平上皮癌が強く疑われたためクラスIV判定とした。


事前鏡検施設画像

1回目

00001 00002 00003 00004 00005 00006 00007
00008 00009 00010 00011 00012 00013 00014

2回目

00015 00016 00017 00018 00019 00020
00021 00022 00023 00024 00025 00026
00027 00028 00029 00030    

事前鏡検施設判定:細胞異型は比較的軽く、 細胞質オレンジGやライトグリ-ンに好染する旁基底や基底細胞型の細胞が主体である。 核クロマチンは濃縮状・融解状・凝集状で著明に増量した細胞は少ない。 2核や多核の多彩な形態の細胞が出現し、 細胞質は光輝性に乏しいが,層状構造や相互封入像がみられた。
以上の所見よりE判定 扁平上皮癌で上気道系及び肺を含めた早期癌を考える


摘出組織画像

1回目

01 02 03 04 05 06
07 08 09 10 11 12

2回目

101 102 103 104 105 106
107 108 109 110 111 112

組織診断:咽頭癌:上皮内扁平上皮癌または高度異形成