症 例 2

検   体:ドック受診者の蓄痰
年   齢:60 歳  女
検体処理:粘液融解法による蓄痰法
臨床経過:間隔1年で人間ドック健診2回受診。初回時の喀痰細胞診検査で要精検となったが、他病診療のため精密検査未受診。間隔1年後の喀痰細胞診検査で再び要精検となり精密検査を受診した。何れも、健診時はX-P:OBであった。

提供施設画像

初回

001 002 003 004 005 006

間隔1年後

007 008 009 010 011
012 013 014 015  

提供施設判定:初回時ー軽度炎症性背景に小型から中型のLG好性の核異型扁平上皮細胞が出現。核形不整が見られ、クロマチン増量も認められるが変性が伴っており融解状所見有り。全体に癌と断定する所見にはatypiaが少しずつ乏しいため、腫瘍病変の存在を疑った。細胞質に層状構造や空砲変性様所見が見られる事から上気道系病変の存在を含め精査を依頼した。
間隔1年後ー強度炎症性背景に、小型から中型のOG好性の核異型扁平上皮細胞が主に出現。中に、多核の中型からやや大型細胞が混在。全体に核形不整は見られるが、クロマチンは網目状を呈している。少量ではあるが、初回時の様なLG好性の核異型扁平上皮細胞が出現。肺原発の扁平上皮癌とするにはatypiaが乏しいと考え、異型の弱さから上気道がんの検索も含め精査を依頼した。
初回時ーD判定 間隔1年後ーD判定


事前鏡検施設画像

初回

00001 00002 00003 00004 00005

間隔1年後

00006 00007 00008 00009 00010 00011

事前鏡検施設判定:初回、間隔1年後ともに同様の所見である。異型細胞は、小型、N/C比増大、核形不整が見られ、一部では核クロマチンが粗顆粒状である。繊維状の核異型細胞を認める。
以上の所見より、偽陽性 Squamous cell carcinoma suspと判定する


摘出組織画像

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組織診断:鼻咽頭Squamous cell carcinoma 一部で角化を伴ったsquamous cell carcinoma,moderately diff.の所見