細胞所見
腹腔鏡下胆嚢摘出術が施行された時に採取された胆汁の細胞診である。細胞は集塊で出現し、細胞集塊の辺縁が整った様な所見を示す細胞集塊と、細胞の重積性を示す細胞集塊がみられた。細胞はやや濃縮状で変性が認められた。細胞の重積性と配列の乱れを呈する細胞集塊もみられ、核の大小不同性が認められた。また、集塊内に好中球の進襲がみられたが、集塊からの核の飛び出しはみられなかった(photo1、2、3)。
推定病変
良性病変として、総胆管結石による粘膜上皮細胞の修復、再生あるいは変性による上皮細胞の変化が考えられた。
悪性病変として、胆嚢、胆管に発生した腺癌が考えられた。
最終的には胆管結石による上皮細胞の変化を考えた。組織所見解説
photo 5 photo 6
考察
癌細胞との比較
photo 7 (本症例)
photo 9 (本症例)
photo 11 (本症例)
photo 8 (癌細胞)
photo 10 (癌細胞)
photo 12 (癌細胞)
細胞診断上の問題点:
細胞診断上の問題点:細胞が重積性の細胞集塊で出現していたこと、核の濃縮状の変性、核の腫大とN/C比の増加、細胞配列の不均等などが挙げられるが、細胞の捉え方としては細胞が比較的小型である。細胞質からの核の飛び出しがみられないこと、集塊からの細胞のほつれがみられないこと等が良悪性の鑑別にあげられると考えられた。なお、本症例については、細胞異型を示した部位の確認が出来なかったが、術後開業医で2年間の経過観察後全快しており、臨床的にも悪性は考えられていない。